クラウドサービスとは何か?
クラウドサービスとは何か?
最近は企業のみならず、個人にも定着しつつある「クラウドサービス」。ネットがこれだけ普及している現在において、もはや欠くことのできない便利なサービスになっていますが、その一方でトラブルや犯罪に使われる危険性も持ち合わせています。ここでは、「クラウドサービスとは何か?」という初歩的な知識をはじめ、メリットとデメリット、利用する際の注意点について紹介していきます。
クラウドサービスとは?
「クラウドサービスという名前は聞いたことがあるけれど、実はよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。
身近なクラウドサービスとしては、「Gmail」や「Yahoo!メール」といったオンラインメールサービスが挙げられます。これらのサービスは、メールの内容や添付データもすべてオンライン上に保存されていますから、インターネットに接続する環境さえあれば、どのPC、スマートフォンからでもアクセスすることが可能です。
このように、外部のサーバー上に「レンタル倉庫」のようなものを作り、そこにさまざまなものを入れて利用、保存することができるサービスのことをクラウドサービスと呼んでいます。
クラウドサービスは3種類
クラウドサービスは、内容によって以下の3タイプに分類されます。
ソフトと同じ内容の「SaaS(サース)/Software as a Service」
財務会計や顧客管理といった、パッケージ化されて販売されていたソフトやグループウェアなどを、インターネット経由で使えるようにしたサービスのことです。従来のソフトとは違い、パッケージを購入する必要もインストールをする必要もありません。一般の方が、一番目に見える恩恵を受けているクラウドサービスといえるでしょう。代表的なものとして、ブラウザでさまざまなアプリを利用する「Google Apps」、地図サービスの「Google マップ」、電車のダイヤや乗り継ぎを調べられる「乗換案内」などがあります。
開発者のための「PaaS(パース)/Platform as a Service」
SaaSで使用されるアプリケーションの、環境そのものを提供するサービスです。開発者は1から10まですべてを作る負担から解放され、予め設定されたシステムに従って開発ができますので、時間的にもコスト的にもメリットがあります。一般ユーザーにとっては、SaaSの課金代行などがPaaSの領域に含まれますが、どちらかというと開発者にメリットのあるクラウドサービスです。
インターネットインフラに関わる「IaaS(イアース・アイアース)/Infrastructure as a Service」
サーバーやOS、ネットワーク機器といったものを、インターネット経由で提供するサービスを指します。ホスティングサービス(レンタルサーバー)と内容が似ていますが、必要なハードやソフトの選択自由度が高く、OSの変更までできる柔軟性が特徴です。その分、システムの運用や保守に必要な作業が、難しくなる傾向があります。広く一般に知られてはいませんが、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」などの名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
企業でクラウドサービスを導入するメリット・デメリット
最近はクラウドサービスを導入する企業も増えてきました。ここでは、企業がクラウドサービスを導入する際のメリットとデメリットを紹介します。
クラウドサービスのメリット
- クラウドサービスはデータの保存や共有だけでなく、アプリケーションソフトを仮想環境で使用することができるため、パッケージでソフトを購入しなくても良いというメリットがあります。
例えば、ほとんど使わないグラフィックやCADなどの高価なソフトの場合、使った分だけの支払い(使用した月のみ支払うなど)になるため、コストを大幅に削減することができます。IT資産を購入するのではなく、レンタルするイメージです。無料で提供されているものや、無料の試用期間が設けられているものもありますので、実質コストゼロで利用できる場合もあります。 - 必要なデータやソフトをオンライン上で扱うため「仕事の場所を選ばない」というメリットもあります。オフィスや自宅、出張先など、インターネットに接続できる環境さえあれば、PCひとつで作業可能です。
- USBメモリや外付けHDD、CD-RやDVDなどのメディアを使って、「データを外に持ち出す必要がない」という点もメリットです。管理ミスや紛失によるデータ流出を防げるほか、外出先でデータを閲覧したり更新したりすることができます。
- 導入が比較的容易、且つ短時間で行うことができ、ITの知識やメンテナンスも不要など、導入のハードルが低いこともクラウドサービスの大きなメリットです。
クラウドサービスのデメリット
- オンラインですべてのデータのやり取りを行うため、通信回線の障害が発生するとまったく仕事ができなくなります。オフラインでの作業もできませんから、ネット回線のつながるところに仕事場所が限定されてしまうこともデメリットの1つです。
- セキュリティ面にもリスクが存在します。もちろん、クラウドサービスを提供している会社も、預かっているデータが外部に漏れないよう、二重三重のセキュリティ対策を施しています。しかし、操作ミスや設定ミスなどの人為的なミスや悪意のある者にバグを突かれてしまうと、第三者にデータを見られたり、流出したりする恐れがあります。そういったニュースを目にする機会が増えてきた、と感じている人も多いのではないでしょうか。
- 災害などでクラウドを管理するシステム会社(サーバーなどの施設)がダメージを受けると、保管していたデータが失われる可能性もゼロではありません。便利でメリットの多いクラウドサービスですが、すべてを任せるのではなく、大切なデータを自己防衛する手段(分散する、定期的にコピーを作成する等)を構築しておくことも重要です。
クラウドサービスで快適な業務を!
クラウドサービスを利用することで、業務効率を大幅にアップすることができます。下記のチェック項目がひとつでも当てはまるようでしたら、早期の導入を考えてもいいでしょう。
クラウドサービス導入チェックリスト
自分のPC以外でメールを送受信したい
多くのPCに予め搭載されているメールソフト(Outlook Expressなど)では、送受信したメールやファイルのデータが自分のPCの中(ハードディスクやSSDなどの記憶装置)に保存されます。ですから、記憶装置が壊れてしまうと取り返しのつかない事態になってしまうのです。
一方、GmailやYahoo!メールといったウェブメールでは、すべてのデータがネットワーク上のサーバーに保存されています。つまり、どこからでもアクセスできる利便性を手に入れた上、データ損失のリスクも防ぐことができるのです。
重いファイルを気軽に送信したい
解像度の高い画像や短くても大量の情報を含む動画を、メールに添付して送っている人もいるのではないでしょうか。しかし、あまりに容量が大きいファイルの添付は、受信者に大きな負担をかけてしまいます。
大きなファイルを送信するときは、「宅ふぁいる便」や「firestorage」「GigaFile便」といったクラウドサービスを利用するといいでしょう。これらのサービスを利用すると、メールにアップロードしたデータにアクセスするためのURLを記載するだけで済みます。
データを安全に保管したい
作成したデータを自分のPCだけに保存していると、もしものときにデータ復旧が不可能(困難)になります。CD-RやDVD-Rといったメディアにバックアップすることもひとつの対策ですが、特に大切なファイルは「Google ドライブ」や「Dropbox」「Yahoo!ボックス」などのクラウドサービスにも保存するといいでしょう。また、保存したファイルを常に更新するように心掛ければ、最新データをどこからでも参照できるようになります。
複数の人が参加するプロジェクトを円滑に進めたい
「サイボウズLive」や「トークノート」といったグループウェアは、複数人でスケジュールの管理、会議の内容、タスク、期限を共有し、SNSのようにメッセージのやり取りも行えます。参加者全員のスケジュールや進捗を視覚化し、共有・更新できますから、業務の効率は格段に良くなります。遠隔地にいる人や社外スタッフが参加するプロジェクトにおいて、グループウェアの導入は必須になりつつあるでしょう。
クラウドサービスを利用する際の注意点
便利なクラウドサービスですが、便利だからこその落とし穴もあります。ここでは、利用する際の注意点をまとめました。
便利だからといって頼り切らない
PCに対する不満や不安を改善するために生まれたクラウドサービスは、今やあらゆる業務をこなせるほどに成長しました。しかし、クラウドサービスが誕生し進化したのはここ十数年、いつ大規模な障害が発生しないとも限りません。いざというときに備え、バックアップは怠らないようにしましょう。
IDとパスワードの管理
クラウドサービスの利用に不可欠なものとして、ログインIDとパスワードが挙げられます。これをサービスごとに変えることは非効率ですから、つい同じものを使い回している人も多いでしょう。しかし、ひとつのサービスのIDとパスワードが漏洩したときに、ほかのサービスまで被害を受けてしまいます。IDとパスワードはサービスごとに変更し、管理も厳重に行うことが大切です。
無線LANを乱用しない
ショッピングセンターやカフェをはじめ、駅や空港などの公共施設でも、無料で無線LANを利用できるスポットが増えています。場所を問わず作業ができるクラウドサービスには追い風ですが、通信が暗号化されていないことも多いため、同じ無線LANを使っている人に情報を盗まれてしまうこともあります。無線LANを使う際は、個人情報や機密情報を含む重要なファイルを「頻繁に更新することはNG」であると覚えておきましょう。
使用サービスのバックアップ体制
クラウドサービスを運営する事業者は、データを複数の場所で保存し、定期的にそれぞれのデータを同期するなど、万全のバックアップ体制を敷いています。それでも、運営実績の少ない事業者の中には、この体制が未熟なケースもあるようです。重要な作業をクラウド上で行うときは、事前に事業者のことを調べ、安心できるサービスを利用するようにしましょう。
クラウドサービスのセキュリティを確認しよう
クラウドサービスを利用する上で、不安要素のひとつに安全性があることは確かです。そこで、利用する際に絶対に忘れてはいけないポイントをまとめました。
アクセス権限付与の制限
経営の中枢に関わるような重要書類は、関係者以外には閲覧できないようにする必要があります。もちろん、外部に漏れるようなことは絶対に阻止しなければいけません。まずは、ファイルサーバーのフォルダにアクセス権限を設定し、アクセスできる人を制限することで最初の障壁を作りましょう。
ファイルの暗号化がされているか
ファイルを保存しているサーバーが第三者に侵入されても、ファイルや通信経路が暗号化してあれば閲覧や改変、ダウンロードされる可能性は低くなります。特定のPCや端末からでないとデータを見られないようにする暗号化は、セキュリティ対策の基本といえます。
ログイン方法が多要素認証になっているか
自身のミスなどから、IDとパスワードが流出してしまうことも考えられます。このようなケースで役立つ方法が「秘密の質問に答える必要がある」「特定の端末からだけアクセス可能」といった、二重三重の認証システムです。利用しているクラウドサービスが、このしくみを採用しているかどうかを確認しましょう。
クラウドサービスには圧倒的なメリットがありますが、見逃せないリスクがあることも確かです。そのことを十分に理解した上で利用するようにしてください。特に複数のバックアップ手段は必須です。
クラウドサービスのサーバー上だけでなく、ローカルのPCやメディアへの保存を組み合わせ、万が一の事態に備えましょう。
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※本記事は、A1データ株式会社の前身、株式会社ワイ・イー・データ時代に執筆・記載されたコラムです。