【プロが解説】HDDが認識するが読み込めないときに試すべき6つの対処法
- HDDは認識されるのにファイルやフォルダにアクセスできない
- 大切なデータが取り出せずどうすれば良いかわからない
- 自分でHDDを復旧できるのか業者に頼むべきかを判断できない
「HDDは認識するのにデータが読み込めない」というトラブルは原因が多岐にわたるため、自分では対処できないことがほとんどです。自分で分解して修理するなどの誤った対応をすると、状況が悪化してHDDのデータを完全に失うリスクもあります。
この記事ではHDDは認識するのにデータが読み込めない原因と自分でできる対処法、安全なデータ復旧方法を解説します。記事を読めば状況に合った適切な対処法がわかり、HDDのデータを守ることが可能です。HDDに重大な不具合や物理障害(※1)がある場合は、専門業者への相談が最も確実な方法です。
※1 物理障害とは衝撃や熱・経年劣化などの物理的な原因でHDDが故障していることです。
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HDDが認識するが読み込めない原因5選

HDDは認識するがデータを読み込めない主な原因は以下のとおりです。
- ケーブルやポートの不具合
- 電力供給不足
- デバイスドライバの問題
- ファイルシステムやパーティションの問題
- HDDの物理障害
ケーブルやポートの不具合
ケーブルが断線したりポートが変形したりすると、HDDとパソコンがうまく通信できなくなりデータを読み込めません。ケーブルやポートを長年使っていると日々の抜き差しで破損することがあります。ケーブルやポートのよくある不具合は以下のとおりです。
- ケーブルの断線
- コネクタの破損・接触不良
- ケーブルの劣化
- ポートの物理障害
- ポート内のゴミ詰まり
ケーブルやポートの不具合がHDDの読み込みエラーを引き起こす場合もあるので、こまめにケーブルやポートの状態を確認しましょう。
電力供給不足

十分な電力がHDDに供給されていないとモーターや内部部品が正常に動作せず、読み込みエラーになることがあります。電力供給が不足する主な原因はパソコンやUSBハブが古いことです。USBポートからの電力が不足している場合やバスパワー式HDDを使用している場合も、読み込みエラーが発生しやすくなります。
別のUSBポートに接続したり、セルフパワー型の外付けHDDを利用したりすると読み込みエラーが改善する場合があります。HDDにACアダプタを接続して安定した電源を確保することも効果的です。
デバイスドライバの問題
デバイスドライバとはパソコンがハードウェアを制御するためのプログラムです。デバイスドライバに問題が生じると、パソコンはHDDの中身を正しく読み込めません。デバイスドライバに問題が発生する原因は以下のとおりです。
- デバイスドライバが古い
- デバイスドライバが破損している
- OSのアップデートでデバイスドライバとの相性が悪くなった
- デバイスドライバがパソコンに正しくインストールされていない
- 他の機器を動かすデバイスドライバと干渉している
パソコンの管理画面の「デバイスマネージャー」でHDDの項目に「!」マークが表示されている場合、デバイスドライバに問題があります。
ファイルシステムやパーティションの問題

パソコンはファイルシステムのルールに従ってデータを整理し、パーティションという仕切りでHDD内を区切って管理しています。ファイルシステムやパーティションが破損するとパソコンはどこに何があるのかを把握できず、データにアクセスできません。
ファイルシステムやパーティションが破損すると、ドライブが「RAW」形式になったりHDDが「未割り当て」になったりします。OSの強制終了やHDDを安全に取り外さなかったこと、ウイルス感染がファイルシステムやパーティションを破損させる原因です。
HDDの物理障害
衝撃や長年の使用によってHDD内部の部品に物理障害が発生する場合もあります。HDDは精密機器なので、部品が1つでも壊れると正しく動作しません。HDDの物理障害でよくある原因は以下のとおりです。
- プラッタ(※2)の傷
- 磁気ヘッド(※3)の劣化・損傷
- モーターの故障
- 電子基板の破損
HDDが物理障害になると「カチカチ」「カタカタ」といった異音が聞こえたり、焦げ臭いにおいが発生したりします。
※2 プラッタとは、HDD内部で高速回転している円盤状の部品です。
※3 磁気ヘッドとは、HDDにデータを書き込んだり呼び出したりする小さな針のような部品です。
HDDが認識するが読み込めないときの基本的な対処法6選

HDDが認識するが読み込めないときの対処法として、以下の6つを解説します。
- 接続ケーブルやUSBポートを別のものに交換して動作を確認する
- ACアダプタや電源ユニットを確認して安定供給できるようにする
- デバイスマネージャーからHDDのドライバを最新状態に更新する
- Windowsの「ディスクの管理」で未割り当てやエラー状態を修復する
- コマンドプロンプトで「chkdsk」を実行してファイルシステムのエラーを修正する
- BIOS画面を開いてHDDの認識設定や起動順序を正しく調整する
接続ケーブルやUSBポートを別のものに交換して動作を確認する
HDDが読み込めないときは、接続ケーブルやUSBポートを新品に交換して動作を確認することがおすすめです。ケーブルが内部で破損していたりUSBポートの接触が悪かったりするだけで、HDDが読み込めなくなる場合があるからです。
デスクトップパソコンの場合、電力供給が安定している背面のUSBポートにケーブルを接続して動作を確認する方法もあります。USBハブを使っている場合は、ケーブルを外してパソコン本体に直接接続することも有効です。HDDが別のパソコンで認識されるかを試せば、データを読み込めない原因を絞り込めます。
ACアダプタや電源ユニットを確認して安定供給できるようにする

HDDの読み込みエラーは電力不足が原因である場合もあります。安定した電力をHDDに供給するには、ACアダプタや電源ユニットの接続を確認する必要があります。HDDの電源供給の見直し方法は以下のとおりです。
- 外付けHDD
- 外付けHDDはタコ足配線や延長コードを使わず、壁のコンセントに直接ACアダプタを差し込みます。本体との接続も確認し、できるだけ製品に付属している純正のACアダプタを使いましょう。
- 内蔵HDD
- パソコンケース内の電源ユニットから伸びるケーブルが、内蔵HDDにきちんと接続されているかを確認しましょう。パソコン全体で使用する電力が大きい場合は、より強力な電源ユニットへの交換も有効です。
- USBで動くポータブルHDD
- USBで動くポータブルHDDは、電力が安定しやすいパソコンの背面にあるUSBポートに接続することをおすすめします。
デバイスマネージャーからHDDのドライバを最新状態に更新する
ストレージコントローラーのドライバが古いとパソコンがHDDを正しく認識できないため、最新の状態に更新しましょう。ドライバを最新の状態にすればプログラムが新しくなり、HDDが正常に動作する可能性があります。デバイスマネージャーでHDDのドライバを更新する手順は以下のとおりです。
- 「Windowsキー」と「Xキー」を同時に押す
- メニューから「デバイスマネージャー」を選ぶ
- 「記憶域コントローラー」または「ディスクドライブ」の項目を展開する(※4)
- 表示されているコントローラーを右クリックして「ドライバの更新」を選択する
- 「ドライバを自動的に検索」をクリックする
- 新しいドライバが見つかれば自動でインストールされる
ドライバの更新が完了したらパソコンを再起動して、HDDが正常に読み込めるかを確認してください。ドライバが既に最新だった場合は「最新の状態です」と表示されます。
※4 Windowsのバージョンによって名称が異なる場合があるため、パソコンの取扱説明書を読んで確認してください。
Windowsの「ディスクの管理」で未割り当てやエラー状態を修正する

Windowsの「ディスクの管理」機能を使って適切な処置をすれば、HDDの読み込みエラーを解消できる可能性があります。「ディスクの管理」はWindowsキーとXキーを同時に押して表示されるメニューから開けます。読み込みエラーが出ているHDDを確認し、状況に応じて以下の対処法を試してみてください。
- ドライブ文字がない場合
- 対象のパーティションを右クリックして「ドライブ文字とパスの変更」から新しい文字を割り当てます。
- 「未割り当て」と表示される場合
- 「未割り当て」領域を右クリックして「新しいシンプルボリューム」を選択し、画面の指示に従ってパーティションを作成します。
- 「初期化されていません」と表示される場合
- 対象のディスクを右クリックして「ディスクの初期化」を行いましょう。
- ファイルシステムが「RAW」と表示される場合
- 対象のパーティションを右クリックしてフォーマットを実行すると、HDDのデータを修復できる可能性があります。
» Microsoft「Windowsでのディスク管理」(外部サイト)
「未割り当て」からのパーティション作成や初期化を実行すると、HDD内のデータが消えてしまう場合があるため注意してください。
コマンドプロンプトで「chkdsk」を実行してファイルシステムのエラーを修正する
Windowsに搭載されている「chkdsk(チェックディスク)」のコマンドを使えば、ファイルシステムのエラーを自分で特定できます。chkdskを実行する手順は以下のとおりです。
- スタートメニューを右クリックする
- 「コマンドプロンプト(管理者)」か「Windows PowerShell(管理者)」を選ぶ
- 黒い画面に「chkdsk D: /f」と入力してEnterキーを押す
「chkdsk D: /f」の「D:」の部分は調べたいHDDのドライブ名に書き換えてください。「ボリュームが別のプロセスによって使用されているため〜」と表示された場合、パソコンを再起動するとチェックが始まります。
chkdskを実行するとHDD内のデータが失われる可能性もあります。chkdskを実行する前に、忘れずにバックアップを取りましょう。HDDの物理障害が疑われるときは状態が悪化する危険性もあるため、chkdskの実行は慎重に判断してください。
» Microsoft「chkdsk」(外部サイト)
BIOS画面を開いてHDDの認識設定や起動順序を正しく調整する
BIOS(※5)の設定が適切でないとパソコンがHDDを正常に認識できなかったり、ディスクを起動する順番がわからなくなったりします。パソコンを起動してメーカーのロゴが表示されている間に指定のキーを連打すると、BIOS画面を開くことが可能です。
BIOS画面からHDDの認識設定や起動順序を変更する方法は以下のとおりです。
- HDDの認識設定
- 「Storage」や「SATA Configuration」などの項目を探し、接続したHDDが正しく認識されているかを確認しましょう。HDDが認識されていない場合、関連するポートを有効(Enabled)に変更してください。
- HDDの起動順序の設定
- 「Boot」や「Boot Priority」のメニューからHDDの起動順序を1番目(1st Boot Device)に設定します。その後に設定を保存してパソコンを再起動し、HDDを読み込めるようになったかどうかを確かめてください。
BIOSの設定を見直せばパソコンがHDDを正しく検出して正常に起動できる可能性が高まります。
※5 BIOSとは、パソコンの電源を入れたときに最初に起動し、ハードウェアを制御してOSを起動させるためのプログラムです。
HDDが認識するが読み込めないときのデータ復旧方法

HDDが認識するが読み込めないときのデータ復旧方法は以下のとおりです。
- データ復旧ソフトを使って自分でデータ復旧をする
- データ復旧業者に依頼する
データ復旧ソフトを使って自分でデータ復旧をする
データ復旧ソフトは間違ってファイルを消してしまったときや、ファイルの情報が壊れてしまったときに有効です。データ復旧ソフトを活用すれば専門業者に依頼するよりも費用を抑えられます。データ復旧ソフトの使い方は以下のとおりです。
- 復旧対象のHDDとは別のデバイスにデータ復旧ソフトをインストールする
- データを取り出したいHDDをスキャンする
- 復旧したいファイルを選ぶ
- 選んだファイルを外付けHDDなどに保存する
多くのデータ復旧ソフトには、購入前にデータが取り戻せるかを確認できる無料体験版が用意されています。データ復旧ソフトを購入する前に無料体験版で復旧できる見込みがあるか確かめてください。
HDDから異音がしたり焦げ臭いにおいがしたりする場合は、データ復旧ソフトを使用すると状態が悪化する可能性があります。HDDの物理障害が疑われる場合、データ復旧ソフト(無料体験版を含む)の使用は避けましょう。
データ復旧業者に依頼する

絶対に失いたくない大切なデータがある場合は、データ復旧の専門業者に依頼することが最も安全です。専門業者は故障した部品を交換するための繊細な技術や、HDDのデータ修復に関する専門的な知識を持っています。専門業者を選ぶ際に確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 復旧実績
- セキュリティ対策
- 料金体系
多くの専門業者は最初に無料でHDDの状態を調べてくれるため、データ復旧の可能性と費用を確認してから正式に依頼可能です。専門業者の料金体系はさまざまで「成功報酬制」を採用しているところも多くあります。ただし、成功報酬制でもデータが復旧しなかった場合に、診断料や調査料などの実費が請求されることがあります。
固定料金制を採用している業者もあるため、専門業者に依頼する前に各業者の料金体系の詳細を必ず確認しておきましょう。HDDの復旧に成功した場合の費用は数万円から数十万円になることが一般的です。
»データ復旧の料金相場は?失敗しない選び方のポイントを解説!
HDDが認識するが読み込めないときにやってはいけないこと3選

HDDが認識するが読み込めないときにやってはいけないことは以下のとおりです。
- フォーマット・初期化する
- 物理的な衝撃を与える
- HDDを分解する
フォーマット・初期化する
HDDが読み込めないときに「フォーマットする必要があります」などのメッセージが表示されても、安易に実行しないでください。フォーマットを実行するとHDDに記録されているデータを見つけるための地図情報まで消去されてしまいます。
HDDの読み込みエラーが発生したときはデータの安全確保を最優先に考えて、まずは使用を停止しましょう。物理障害が疑われる場合は自分でHDDを復旧しようとせず、データ復旧の専門業者に相談することをおすすめします。
物理的な衝撃を与える

HDDの読み込みエラーが発生したときに、叩いたり振ったりして物理的な衝撃を加えることは避けてください。HDDは精密機器であり、わずかな衝撃で致命的な故障につながる恐れがあるからです。
HDDの内部ではプラッタの上を磁気ヘッドが目に見えないほどの隙間を保ちながら高速で動いています。HDDに衝撃が加わると磁気ヘッドがプラッタに衝突して「スクラッチ」と呼ばれる修復不可能な深い傷がつきます。スクラッチによる損傷はデータ復旧の専門業者でも修復できません。
HDDを分解する
HDDは清潔な環境でなければ分解してはいけません。自分でHDDを分解して内部にほこりやチリが入ると、データを保存している円盤部分に傷がついて復旧が難しくなります。
HDDを無理にこじ開けてデータが破損するとメーカー保証が無効になり、復旧や交換ができなくなります。データを失うだけでなく専門業者でも対応が難しくなるため、HDDは安易に分解しないでください。
HDDが認識するが読み込めないときはデータ復旧業者への依頼がおすすめ

HDDが認識するがデータを読み込めない場合は、データ復旧の専門業者への依頼が最も安全で確実な方法です。自分で処理をすると状態が悪化してデータを取り戻せなくなるリスクがあります。専門業者では以下の対応が可能です。
- クリーンルームでの安全な開封
- 深刻なエラーの改善
- 精密部品の交換
専門業者ではHDDのデータを復旧できるかどうかの無料診断も受け付けています。大切なデータを失うリスクを避けるため、まずは専門業者に相談してみましょう。
» おすすめのデータ復旧専門業者10選を解説!