HDDが故障したときの復旧方法3選|原因・症状・注意点まで徹底解説!
突然HDDが認識されなくなり、大切なデータにアクセスできず焦っていませんか?HDDの故障は予期せぬタイミングで起こり、正しい対処をしないと仕事のファイルや思い出の写真が失われる恐れがあります。
この記事ではHDDが故障する主な原因や症状、データ復旧方法、復旧時の注意点を解説します。記事を読めばHDDの状態に応じた適切な対処法がわかり、大切なデータを取り戻すための最善の選択が可能です。
HDDのデータを復旧する際は故障の原因を正しく判断する必要があります。異音や異臭がする場合は物理的な故障の可能性が高いため、自分で直そうとせずデータ復旧業者に相談しましょう。
HDDの故障の主な原因

HDDが故障する原因は主に以下の3つのパターンです。
- 物理障害が原因でHDDが故障する
- 論理障害が原因でデータが破損する
- 初期不良や経年劣化でHDDに不具合が生じる
物理障害が原因でHDDが故障する
HDDが物理的に壊れてしまう故障を「物理障害」と呼びます。HDDの物理障害は以下が原因で起きます。
- 強い衝撃を与える
- 水にぬれる
- 高温になる
- 雷による過電流・サージが起こる
- モーターが故障する
- 停電になる(二次的に物理障害を引き起こす可能性がある)
HDD内部にはデータを記録した円盤や情報を読み書きする針のような部品が入っています。HDD内部の部品が衝撃や環境の変化で少しでも傷つくとHDDの故障につながります。HDDに物理障害が発生すると、専門的な設備や技術がない限り自力で修理してデータを復旧することは困難です。
» HDDを修理する方法は?故障の症状や注意点を解説!
論理障害が原因でデータが破損する

論理障害とはHDD本体が壊れていないのに、中のデータやファイルを管理する仕組みに問題が起きている状態のことです。論理障害が発生すると、HDDデータの記録方法に矛盾が生じたり必要な情報が失われたりします。論理障害が起きる原因は以下のとおりです。
- ファイルを誤削除する
- ドライブを誤フォーマットする
- ファイルシステムが破損する
- OSやシステムファイルが破損する
- ウイルスに感染する
- 管理情報が破損する
HDDの部品に問題がなくても人の操作ミスやシステム上のエラーによって論理障害が起こる場合もあります。
初期不良や経年劣化でHDDに不具合が生じる
新品のHDDでも購入から1年以内に製造時のわずかな欠陥が原因で、突然認識されなくなる初期不良が起こる場合があります。長く使い続けることによる経年劣化も、HDDが故障する原因の一つです。HDDは多くの精密な部品からできているため、初期不良や経年劣化を完全には防止できません。
HDDのデータを読み書きする部品やディスクを回すモーターなどが劣化すると、以下のような症状を引き起こす場合があります。
- 動作速度が低下する
- 異音が発生する
- ファイルが開けなくなる
一般的にHDDの寿命は3〜5年、時間にすると約26,000〜43,000時間が目安です。使用環境や扱い方によって、HDDの寿命はさらに短くなることもあります。
» HDDは何年使える?寿命を伸ばす方法
HDDが故障している場合の主な症状

HDDが故障すると、パソコンに以下の症状が現れます。
- パソコンがHDDを認識しない
- パソコンから異音や異臭がする
- データの読み書きができない
突然の起動不良やエラーメッセージの表示などが起こる場合は、HDDのデータ復旧が必要になることがあります。
パソコンがHDDを認識しない
パソコンがHDDを認識しなくなる原因は以下のとおりです。
- ケーブルや接続口に不具合が起きている
- BIOS/UEFIで認識されなくなっている
- 未割り当てやオフライン表示になっている
- ドライブレターが未設定になっている
- フォーマット要求エラーが出ている
- HDDの制御基盤が故障している
- 電源の供給が不足している
- デバイスドライバが不具合を起こしている
- OSやシステムの不具合が起きている
- HDD内部の読み取りヘッドが故障している
パソコンがHDDを認識しない状態になるとHDDに保存してある大切なデータにアクセスできなくなります。
» HDDが認識しない原因と対処法を徹底解説!
パソコンから異音や異臭がする

パソコンから普段聞き慣れない音や焦げ臭い匂いがする場合、HDDなどの内部の部品に何らかの問題が発生している恐れがあります。パソコンから聞こえる音や匂い別の原因は以下のとおりです。
- カチカチ、カタカタ:HDDの読み書き部品の異常、またはファンの軸受け部分の劣化
- ジー、ギー:HDDのヘッドとディスクの接触、またはファンやCPUクーラーの回転部品の不具合
- シー、シャー:HDDのモーター部分の問題、またはファンの回転異常
- 焦げ臭い匂い:電源ユニット、マザーボード、その他の電子基板のショート
パソコンから異音や異臭がする場合はHDDや電源ユニットなどの故障が疑われるため、すぐにパソコンの電源を切ってください。特にHDDから異音がする場合、そのまま使い続けるとデータ復旧が困難になる恐れがあります。
データの読み書きができない
HDDのデータが読み書きできない場合、以下のような症状が見られます。
- エラーメッセージが出る
- フリーズする
- 保存やコピーが遅くなる、失敗する
- 「フォーマットする必要があります」と表示される
- ファイルやフォルダが見つからない、文字化けする
- パソコンの起動が遅くなる、停止する
- フォルダの中身が表示されなくなる
HDD内部のデータを読み取る部品やデータを記録している円盤に問題が起きると、データの読み書きができない症状が起こります。
HDDのデータを復旧する方法

HDDのデータを復旧する方法には以下の選択肢があります。
- 自力で復旧する
- データ復旧ソフトを使用する
- データ復旧業者に依頼する
HDDの状態や故障の原因に応じてHDDを復旧させるための選択肢が変わります。
自力で復旧する
HDDに問題が発生した場合でもデータ復旧業者に依頼する前に自分で試せる対処法がいくつかあります。HDDが認識されない原因がケーブルの接触不良やシステムの一時的なエラーなど、比較的簡単な問題の可能性があるからです。自分で試せるHDDのデータ復旧方法は以下のとおりです。
- 接続ケーブルやポートを変更する
- パソコンを再起動する
- HDDを別のパソコンへ接続してみる
- OS標準の修復ツールを実行する
- ドライバーの更新・再インストールする
基本的な対処法で復旧しない場合、HDD自体により深刻な問題が起きている可能性があります。パソコンを再起動したり別のパソコンに接続したりして、HDD本体に問題があるのかどうかを切り分けましょう。
データ復旧ソフトを使用する

データ復旧ソフトはファイルを間違えて消してしまったときなど、HDD本体が物理的に壊れていない場合に有効な復旧方法です。パソコンにデータ復旧ソフトをインストールすることで、HDDの中から消えてしまったデータの痕跡を探し出せます。
無料体験版が用意されているデータ復旧ソフトも多く、手軽に試しやすい方法です。まずは無料体験版のデータ復旧ソフトで復旧したいデータの有無を確認してから、有料版の購入を検討しましょう。データ復旧ソフトを使う際には以下の点に注意が必要です。
- データ復旧ソフトのインストール先に注意する
- 復旧したいデータが入っているHDDにソフトをインストールすると、データが上書きされて消える恐れがあります。必ず別のHDDやUSBメモリにデータ復旧ソフトをインストールしてください。
- 復旧データの保存先に注意する
- トラブルが起きているHDDとは別の場所に復旧データの保存先を指定しましょう。
- データ復旧ソフトが有効なケースか確認する
- データを誤って削除したなどの「論理障害」の場合、データ復旧ソフトが役立ちます。
HDDに物理的な故障が疑われる場合にデータ復旧ソフトを使用すると、状態をさらに悪化させてしまう危険性があります。
データ復旧業者に依頼する
HDDの物理障害や復旧ソフトでは対応できない重度のデータ破損が起きた場合は、データ復旧業者への依頼がおすすめです。データ復旧業者に依頼すると個人で作業するよりも高い確率でデータを復旧できます。
顧客情報といった重要なデータや家族との思い出の写真を復旧させたい場合は、データ復旧業者への依頼を検討しましょう。多くのデータ復旧業者は無料の初期診断を行っているため、復旧の可能性や費用を確認してから正式に依頼するかを決められます。
データを取り出せなければ料金が発生しない「成果報酬制」を採用しているデータ復旧業者もあります。信頼できるデータ復旧業者を選ぶためには、以下の点をよく比較検討してください。
- 復旧実績があるか
- セキュリティ体制が整っているか
- 料金体系は適正か
HDDのデータを復旧させる際の注意点

HDDのデータ復旧を行う際は以下の注意点を守る必要があります。
- HDDをフォーマット(初期化)しない
- 電源のオン・オフを繰り返さない
- 個人でHDDを分解しない
故障したHDDに誤った操作をするとデータが完全に失われたり、専門家でも復旧が難しくなったりする危険性があります。
HDDをフォーマット(初期化)しない
パソコンにHDDを接続した際に「フォーマットする必要があります」というメッセージが表示されても実行しないでください。メッセージが出てもHDDの「目次」にあたる部分が壊れているだけで、データ自体は無事な可能性があるからです。
HDDをフォーマットすると大切な「目次」が消えてしまい、データがどこに保存されているのかわからなくなってしまいます。大切なデータを確実に保護するためにも、フォーマットを実行する前にはバックアップを取るようにしましょう。
電源のオン・オフを繰り返さない

HDDの故障が疑われる場合にパソコンの電源をむやみに入れたり切ったりすると、データの復旧を妨げる恐れがあります。電源のオン・オフがHDDに与える悪影響は以下のとおりです。
- データを記録している円盤に傷がつきデータが読み取れなくなる
- パソコンが自動修復を試みデータの並び順をさらに壊してしまう
- 内部の部品がぶつかり合い完全に故障してしまう
電源のオン・オフを繰り返すことでデータ復旧が困難になったり、専門業者に依頼する際の費用や時間が増えたりします。HDDの異変を感じたら通電を控え、冷静に次の対応を検討しましょう。
個人でHDDを分解しない
HDDが故障した際に中身がどうなっているか気になっても、個人で分解することは絶対にやめてください。個人でHDDを分解することが危険な理由は以下のとおりです。
- ホコリやチリの侵入
- 普通の部屋でHDDを開けると目に見えないホコリやチリが入り込みます。HDDに入ったホコリやチリが円盤(プラッタ)を傷つけ、データが永久に失われる危険性があります。
- デリケートな部品の破損
- HDD内部の部品は繊細で、分解には特殊な工具が必要です。HDDを無理に開けようとすると部品を物理的に壊してしまうリスクがあります。
- データ復旧の可能性の低下
- HDDを分解してしまうと状態が悪化し、専門業者でもHDDのデータ復旧が難しくなります。メーカーの保証も受けられず、業者に依頼する際の費用も高額です。
安易なHDDの分解は大切なデータを永遠に失う原因になります。HDDに問題が起きた場合は個人で分解せず、データ復旧業者への相談がおすすめです。
HDDのデータ復旧に関するよくある質問

HDDのデータ復旧に関して以下のよくある質問に回答します。
- 自力でHDDを復旧する場合の成功率は?
- HDDの復旧にかかる時間と費用はどれくらい?
- 業者に依頼した場合、データのプライバシーは守られる?
- データ復旧後、再度HDDを故障させないために大切なことは?
自力でHDDを復旧する場合の成功率は?
HDDの軽度の論理障害であれば、自力で復旧できる可能性があります。ただし、重度の論理障害や物理障害などHDDの故障が深刻な場合、自分で直すことはほぼ不可能です。
重度の論理障害や物理障害の場合に自分で復旧を進めると、HDDの状態がさらに悪化する危険があります。特にHDDの分解や市販ソフトでの無理な操作はデータ消失につながるため避けてください。
HDDの復旧にかかる時間と費用はどれくらい?
HDDの復旧にかかる時間と費用の目安は以下のとおりです。
方法 | 時間 | 費用 |
自分でデータ復旧ソフトを使う場合 | 数時間~数日 | 無料~数万円 |
専門業者に依頼する場合(軽い故障) | 即日~数日 | 3~10万円 |
専門業者に依頼する場合(重い故障) | 1週間以上 | 数十万円以上 |
HDDの故障具合が重くなるほど時間と費用がかかる傾向にあります。
» データ復旧の料金相場は?失敗しない選び方のポイントを解説!
業者に依頼した場合、データのプライバシーは守られる?

信頼できるデータ復旧業者を選べばデータのプライバシーは厳重に守られます。多くの専門業者は顧客の大切な情報が外部に漏れないよう、以下のような厳格なセキュリティ対策を講じています。
- 秘密保持契約(NDA)を締結している
- 国際的な認証(ISOなど)を取得している
- データセンター内の物理セキュリティを厳重に管理している
- データへのアクセスを制限している
- 納品後に依頼データを完全消去している
業者を選ぶ際には公式サイトでプライバシーポリシーやセキュリティ対策の実施状況を確認しましょう。
» 日本産業標準調査会「ISOの概要」(外部サイト)
データ復旧後、再度HDDを故障させないために大切なことは?
以下の点に注意することで、HDDのデータ復旧後の故障を防げます。
- 定期的にHDDデータのバックアップを取る
- パソコンの使用環境を整える
- パソコンへの強い衝撃や振動を避ける
- 正しい方法でパソコンの電源を切る
- パソコンのウイルス対策をする
- 寿命が来る前にHDDを交換する
基本的な対策を心がければ、再度データが消えてしまうリスクを軽減できます。
適切な方法でHDDのデータ復旧を成功させよう

HDDのデータ復旧を成功させるには故障の原因を正しく判断し、適切な対処法を選ぶ必要があります。HDDの故障は大きく分けて物理障害と論理障害の2種類です。間違った対処法を選ぶとHDDの状態が悪化する恐れがあるため注意してください。
ファイルを誤って削除した場合はデータ復旧ソフトで対応できます。HDDから異音が聞こえる場合はパソコンの使用を中止し、データ復旧業者に相談しましょう。自力でのデータ復旧が困難な場合はプロに依頼してください。HDDのデータ復旧後はバックアップを習慣化すると、再度故障した際のデータ損失リスクを軽減できます。