スマートフォン・タブレット関連情報
スマートフォン・タブレットの構造について|データ復旧
日常的に使用しているスマートフォンやタブレットですが、その内部構造に触れる機会は多くありません。これらのデバイスは、多数の電子部品やモジュールによって構成されており、それぞれが明確な役割を担うことで全体の機能を実現しています。本項では、スマートフォンを構成する主要な部品と、それぞれの機能的役割について解説します。
ディスプレイ画面
スマートフォンの中で一番よく目にする部品がディスプレイ画面です。映像を映し出すだけでなく、タッチ操作によって入力装置としての役割も持っています。表面のガラスの下には、指の動きを感知するタッチセンサーや映像を表示するディスプレイがあり、機種によっては画面の中に指紋センサーが組み込まれているものもあります。
以前は液晶ディスプレイ(LCD)が主流でしたが、最近ではより鮮やかで省エネ性能にも優れた有機ELディスプレイ(OLED)を採用するスマートフォンが増えてきています。
TFT液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは、バックライトと呼ばれる光源を使って画面を明るくしています。その光を「液晶分子」が通したり遮ったりすることで、色や明るさを調整し、映像を映し出しています。
AMOLED(有機ELディスプレイ)
有機ELは、1つ1つの画素(ピクセル)が自分で光る仕組みのため、バックライトが必要ありません。その結果、画面がより薄くなり、色のコントラストがはっきりして、黒が深く見えるのが特徴です。
表面ガラス
スマートフォンの画面表面を守るのが強化ガラスです。昔に比べて何倍も強く進化していますが、軽さや薄さも求められるため、落とした時に割れてしまうリスクはゼロではありません。代表的なものに「Gorilla Glass」シリーズや「Ceramic Shield」「サファイアガラス」などがあります。
タッチパネルの方式
スマホやタブレットの画面は、タッチ操作を検知する仕組みにいくつか種類があります。
静電容量方式(現在の主流)
指が触れたときの電気の変化を検知して操作を認識します。マルチタッチやスワイプなどの操作が可能ですが、手袋をしていると反応しにくいことがあります。
抵抗膜方式(昔のスマホやカーナビに採用)
画面を押すと内部の電極が接触して反応する仕組みです。手袋のままでも操作できますが、画面が見づらく、マルチタッチには対応していません。
電磁誘導方式(専用ペン対応)
専用のペンを使うと、磁界の変化を利用して位置や筆圧まで正確に検知できます。細かい描画に向いていますが、指や一般的なペンでは操作できません。
バッテリー
スマートフォンには、主に リチウムイオン電池 が使われています。この電池は「軽くて長持ち」「大きな電力をためられる」という特長があり、現在のスマホに欠かせない存在です。
ただし、リチウムイオン電池は 熱や充電のしすぎに弱い という性質もあります。そのため、真夏の車内に置きっぱなしにしたり、充電器につなぎっぱなしにするのは避けた方が安心です。
また、この電池には 「自己放電」 という特徴があり、使っていなくても少しずつ容量が減っていきます。長い間バッテリーをゼロのまま放置すると劣化が進み、最悪の場合は充電しても電源が入らなくなることもあります。
基板(マザーボード/ロジックボード)
スマートフォンの心臓部ともいえるのが「基板」です。マザーボードやロジックボードと呼ばれることもあります。
この基板には、電源を管理するIC、Wi-FiやBluetoothの通信モジュール、携帯電話の電波をつかむセルラーモデム、さらに加速度センサーやジャイロスコープといった小さな部品まで、数百から1,000点以上もの電子部品がびっしりと組み込まれています。
中には替えのきかない重要な部品も多く、基板は「スマートフォンそのもの」といっても過言ではありません。つまり、この基板が壊れてしまうと、データにも大きな影響が及んでしまいます。
スマートフォンの「頭脳」にあたる部品がプロセッサです。パソコンでいうCPUと同じ役割を持ち、処理の速さや快適さを大きく左右します。
実際には、CPUだけでなく GPU(画像処理) や 通信に使うモデム、メモリ(RAM) などもまとめてひとつのチップに収められており、これを SoC(System on a Chip) と呼びます。
プロセッサ(CPU)
このSoCは基板に直接組み込まれているため、基本的に交換することはできません。つまり、スマホの性能を決めるとても重要な部品であり、「スマホの頭脳そのもの」といえる存在です。
Qualcomm Snapdragon | |
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特徴 | 高性能でバランスの取れたSoC。ハイエンドからローエンドまで幅広いラインナップがあります。 |
代表モデル | Snapdragon 8 Gen 2、Snapdragon 7 Gen 1 |
Apple Aシリーズ、Mシリーズ | |
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特徴 | Apple 専用のSoCで、非常に高いパフォーマンスと効率を誇ります。 |
代表モデル | A17 Bionic、A16 Bionic |
MediaTek Dimensity | |
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特徴 | コストパフォーマンスに優れたSoC。特にミドルレンジからハイエンドのスマートフォンに多く採用されています。 |
代表モデル | Dimensity 9200、Dimensity 8100 |
Samsung Exynos | |
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特徴 | サムスン製のスマートフォンに多く採用されているSoC。ハイエンドからローエンドまで幅広いラインナップがあります。 |
代表モデル | Exynos 2200、Exynos 2100 |
Google Tensor | |
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特徴 | Google Pixelシリーズ専用のSoC。AIや機械学習に特化した機能が特徴です。 |
代表モデル | Tensor G3、Tensor G2 |
HiSilicon(Huawei) Kirin | |
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特徴 | Huaweiのスマートフォンに採用されているSoC。高性能ですが、最近は供給が制限されています。 |
代表モデル | Kirin 9000、Kirin 990 |
メモリ(ストレージ)
スマートフォンには、アプリや写真・動画、そしてOS(基本ソフト)など、あらゆるデータを保存しておくための ストレージメモリ が搭載されています。これは NAND型フラッシュメモリ と呼ばれる半導体メモリでできており、電源を切ってもデータが消えないのが特長です。SDカードやUSBメモリ、SSDなどにも同じ仕組みが使われています。
ただし、スマートフォンのストレージは 基板に直接取り付けられているため、取り外しや交換はできません。 パソコンのHDDのように簡単に差し替えることは不可能です。
さらに現在のスマートフォンでは、OSが標準で「Trim機能」と呼ばれる仕組みを使っており、不要になったデータはすぐに完全消去されます。そのため、誤って削除したデータや、初期化してしまったデータは、基本的に復旧できません。
ストレージの規格
eMMC(embedded Multi Media Card)
フラッシュメモリと制御用コントローラーをひとつにまとめた構造のストレージです。スマートフォンのほか、カーナビや産業機器などにも使われています。
UFS(Universal Flash Storage)
eMMCと同じく基板に直接取り付けられる小型ストレージですが、より新しい規格です。データの読み書きを同時に行えるため速度が速く、省電力性能にも優れており、最近の多くのスマートフォンに採用されています。
カメラ
インカメラ(フロントカメラ)
スマートフォンの画面側についているカメラで、主に 自撮り(セルフィー) や ビデオ通話 に使われます。最近では画質が向上し、美顔補正や背景ぼかしなどの機能も搭載されています。
リアカメラ(アウトカメラ)
背面にあるメインのカメラで、スマホの撮影機能の中心となる部分です。モデルによっては 複数のレンズ を搭載しており、以下のように使い分けができます。
広角レンズ
一般的な撮影に最適
超広角レンズ
景色や大人数の写真に便利
望遠レンズ
遠くの被写体をズームして撮影可能
広角レマクロレンズンズ
花や小物などの近接撮影に適している
さらに、近年は 4800万画素や1億画素 といった超高解像度カメラを搭載する機種も登場しています。これにより写真はより細かく鮮明になりますが、その分データ容量も大きくなり、スマホ内部の メモリ(RAM)やストレージ にも高性能が求められるようになっています。
生体認証
スマートフォンには、パスワードを入力しなくても本人確認ができる 生体認証 が搭載されています。代表的なのは、iPhoneでおなじみの 顔認証(Face ID) や 指紋認証(Touch ID) です。
最近のスマートフォンではさらに進化していて、画面に指を置くだけでロック解除できる 画面内蔵型の指紋センサー(超音波式) や、目の虹彩を読み取る 虹彩認証 を搭載した機種もあります。
Face ID
顔をカメラに向けるだけでロック解除や決済が可能。高いセキュリティ性を持ち、暗所でも使えます。
Touch ID
指紋を登録して、ホームボタンや電源ボタンに触れるだけでロック解除や決済が可能。直感的で使いやすい認証方法です。
セキュリティチップ
OSとセキュリティの仕組み
スマートフォンのOSにはハードウェアと一体となった強固なセキュリティの仕組みが組み込まれており、第三者から大切なデータを守るための万全の備えが何重にも施されております。
Androidの暗号化の仕組み
Android 6 以降のスマートフォンでは標準で暗号化機能が組み込まれており、ユーザー側で個別に暗号化の設定をしなくても自動的にすべての個人データが保護されています。
フルディスク暗号化(FDE:Full Disk Encryption)
Android 4.4 で導入されたストレージ全体を暗号化する方式です。出荷時のバージョンが Android 9 までの端末で利用可能でしたが、Android 13 以降のデバイスでは完全に廃止されています。
ファイルベース暗号化(FBE:File-based encryption)
Android 7.0 以降でサポートされ、出荷時のバージョンがAndroid 10 以降の端末では標準で有効化されています。FDEとは異なり、ディスク全体ではなくファイル単位で暗号化を行う仕組みで、仮に100個のファイルがあれば暗号化キーも100個存在します。この方式のおかげで暗号化解除前であっても画面ロックの解除前にも着信や通知を受け付けたりといくつかの基本的な機能を使用できるようになりました。
これらの暗号化を解除するための復号キーは、ストレージ内に単一のファイルとして存在しているわけではなく、キー自体にさらに暗号化を施された上で主にハードウェア(場合によっては専用ハードウェア)内に格納されています。
iPhone(iOS)の暗号化の仕組み
iPhone 3GS, iOS 4以降の端末でハードウェアベースの暗号化が導入されました。メールやSafariの履歴などの一部データに暗号化が施されています。iOS 8 以降のiPhoneではすべて暗号化がされており、製造元である Apple でさえ、パスコードで保護されたユーザーデータには一切のアクセスができなくなりました。
ファイルベースの暗号化方式が用いられており、iPhone 5s以降のモデルでは Secure Enclave という専用のセキュリティチップ上に生体認証情報や暗号鍵が保管されています。
これら強力な暗号化の仕組みが施された状態で、スマートフォンを初期化するとユーザーファイルのみならず復号のための解除キーごと消去してしまうため、事実上個別にファイルを復元することが不可能となります。これは「暗号化消去(Cryptographic Erasure)」と呼ばれる NIST(米国立標準技術研究所)にも準拠した確実にデータを復元不可能にするための消去方式です。信頼性の高さから世界中の政府機関でも採用されています。
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